マネージャーの仕事の一つに、「部下の業務のゴールを設定してあげる」というのがある。むしろ、この仕事こそがマネージャーの仕事で、マネジメントの本質ではないかと思っている。
わたし自身が、何人かのマネージャーのもとで働き、自分自身がマネジメントする立場になって分かったことを伝えていきます。マネージャー経験の長い人も、これからマネジメントする立場の人も役立つtipsとなれば嬉しいです。
良いマネージャーとダメなマネージャー
近年数多くのマネジメントに関する本が出版され、良いマネージャーダメなマネージャーの議論がされている。
例えば、良いマネージャーとは
- 部下の意見や考えを傾聴できる
- 部下のやる気を引っ張れる
- 上と現場の間に立ち、上の考えを咀嚼し現場に伝えることができる
- チームをサーバントリーダーシップ的な力で導くことができる
と書いてあったり、一方悪いマネージャーは
- 自分の意見を押し通そうとする
- やる気を削ぐような言葉をなげかける
- 部下の失敗や挑戦をフォローしない
- ワンマン
である、などと書いてある。
たしかに、このどれもがきっとそうなのだろうけど、実際にマネジメントされる側としていると、うーん、ちょっと違うかも…と感じることが多々ある。
部下の考えを傾聴してくれるけど、決断してくれないので、常に足踏み状態が続き、仕事が進まなかったり、ワンマンではあるがスピード感を持って仕事が進んだりするなどだ。
また、マネジメント側になった時もそうだった。意見を聞いたり反映させているが、進捗としては遅かったり、意見を押し通してしまった…と感じても、その後は円滑に進んだりと、一般的に言われていることや本に書いてあることを理解できるけど、納得できないということが多々あった。
しかし、その葛藤の中で良いマネジメントとは何か気がついたことがある。
それが、
「仕事のゴールを設定してあげる」です。
仕事のゴールを設定するとは?
では、仕事のゴールを設定するとはなんなのでしょうか。あなたが営業だったら、予算だったり、企画職であれば、いつまでに何のプロジェクトを完遂するなどだ。
しかし、ここで、多くの人が勘違いをしている。仕事のゴールは数値目標だけではなく状態ゴールが必要なのです。つまり、予算や目標数値を与えれば、部下が動くわけではないということです。※数字だけ与えて動ける部下は非常に優秀です。一方、数字を与えても動けないからと言って、優秀でないわけではありません。ほとんどが動けないので、動けないことを前提に進めた方がいいということです。
例えば、営業の場合、今月の目標はいくらだと設定するだけでなく、お客様の課題を3つ聞いてくるや、決済者と繋いでもらうをゴールとしておいたり、あなたが企画職なら、今月はバナー画像を10本回し勝ち要素を見つけるであったり、広告の反応率を上げるためにユーザーヒアリングを100人にするなどが状態ゴールに値します。
状態ゴールを設定しないと、タスクという仕事の露頭に迷うことになってしまうかもしれません。1000万円の売上をあげるためには、あれもして、これもして、それもして…で、結局何やればいいんだろう…となって、結果なにもできていないということがおきます。
これを避けるために、マネジメント側であるあなたは適切な状態ゴールを設定してあげる必要があるのです。
部下自身がゴールを決めて、自走できるようになってほしい!が悪な理由
状態ゴールを部下に決めてもらい自走してほしい!は、悪です。すみません、言いたりてないですね、最低最悪です。
なぜかという、上司であるあなたが部下の成長や仕事に責任を持っていないのと同じだからです。そんな上司ならいなくても構いません。ここまでいうのには実は理由があるのです。
わたしがマネジメント側で部下の仕事を見ていた時、部下には早く成長してほしいという思いと自分の力で遂行する経験をしてほしいという思いから、仕事の大枠のみを渡し、ゴールを自分で設定してもらい進めてもらっていた業務がありました。しばらく経っても、レビューを入れてこないな…と思い、こちらから確認をすると、作業ファイルに名前をつけただけで一歩も進んでいなかったのです。
この時、なぜ進んでいないのか部下に尋ねると思いがけない言葉が返ってきました。
- 設計をしようとしたのですが、何を目指せばいいのかわからなかった
- やれることの幅が多すぎて、優先順位がわからない
- 〇〇さんに何を確認したらいいのかもわからなかった
こう言われたのです。仕事には正解不正解はありません。しかし、目指すべき方向性は提示してあげる必要があったのです。少なくとも、ゴール設定も、一緒に行っていくか、考え方の視点を渡して実施すべきでした。
生活をより良くするサービスを開発して!とだけ言われているようなものだったのです。
マネージャーであるあなたは、状態ゴールの設定をしてあげるか、少なくとも部下が自分で決めてきた状態ゴールを確認し、そのゴールに対して合意をちゃんとしましょう。
部下から無責任な上司だと思われないためにも。
マネジメントはゴール設定
ゴール設定さえできれば、あとはほぼ全てうまく回り始めます。ゴールがあるから、その乖離を部下自身が感じとり、相談してきたり、ゴールがあるから進捗の確認をできたり、ゴールがあるから明日の業務を前日までにちゃんと設定することができるのです。
ゴール設定ができるマネージャーをぜひ目指してください