特定商取引法って何?オンラインショップを始める際に押さえておきたい法律

 初めてネットショップを開いて、副業を開始するときに意外と悩むのが法律の話。

特定商取引法ってなんだろう、古物営業法ってなんだろうなど、実際にやってみないとわからないことは多くあります。

そこで、今日は、オンラインショップを開設する際に最初に知っておきたい法律の話をお伝えいたします。

 

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特定商取引法について

特定商取引法とは、消費者に対して、事業者側が適切に情報提供等を行うことを定めた行政規制です。オンラインショップを開設する際に、フルネーム等を求められるのはこの法律を機能させるためです。

特定商取引法の違反行為は、業務改善の指示から業務停止命令、罰則などの対象となりますので、しっかり理解しておきましょう。

 

例えば、もし、あなたが購入者だった場合、情報もあやふやで正しい情報を提供してくれないお店だった場合、そこで商品を購入するでしょうか。

おそらく購入しないと思いますし、そのお店のことを怪しいと思ってしまうはず。

オンラインショップの場合、実店舗がないからこそ、特定商取引法はとても大切になります。

 

特定商取引法は大きく4つに分解することができます。

(1)氏名等の明示の義務付け

特定商取引法は、事業者に対して、勧誘開始前に事業者名や勧誘目的であることなどを消費者に告げるように義務付けています。

 

(2)不当な勧誘行為の禁止

特定商取引法は、価格・支払い条件等についての不実告知(虚偽の説明)又は故意に告知しないことを禁止したり、消費者を威迫して困惑させたりする勧誘行為を禁止しています。

 

(3)広告規制

特定商取引法は、事業者が広告をする際には、重要事項を表示することを義務付け、また、虚偽・誇大な広告を禁止しています。

 

(4)書面交付義務

特定商取引法は、契約締結時等に、重要事項を記載した書面を交付することを事業者に義務付けています。

 

あなたが開設するオンラインショップ(CreemaやMinne,BASEやSTORES)サービスにも、この表示は義務付けられており、会員登録をし、ショップを開設する際に入力が必須となります。

 

追記:クーリング・オフ 

また、上記の行政規制とともに考えておきたいのが、民事ルールの「クーリング・オフ」についてです。

 

クーリング・オフとは、購入から一定期間内に無条件で取引の解約ができる規定で、特定商取引法はこれを認めております。そのため、ハンドメイドショップにおいても適用されます。

 

しかし、思っていたのと違うという理由で返却したいといってきたり、使用後の破損にも関わらず不良品として返品・交換したいというお客様都合の依頼 ばかりになってしまったら、運営しているあなたも大変ですよね。

 

でもご安心ください。オンラインショップにおいては、「特定商取引法に基づく表記」が優先されるため、開設の際に記入する(後からでも変更は可能)特定商取引法の表記欄に「返品不可」等の記載を記入することで、こちらが優先され、クーリングオフの対象にならなくなります。

 

丁寧に商品作りをすることはもちろんですが、特定商取引法に基づく表記欄に「返品不可」と必ず記載して、悪質なお客様からの対応を事前に決めておきましょう。

 

古物営業法に基づく表記

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古物営業法とは、盗品の売買の防止や、売買されていることを速やかに発見するための法律です。メルカリなどのフリーマーケットは、原則として自分が使ったものを取引することがメインになるため、問題はありません。しかし、メルカリで購入したものをそのままメルカリで再度販売するという行為は禁止されます。

 

もし、中古の品を買い取り・売るという場合は、古物商許可の取得が必要となりますので、実施する可能性がある方は注意しておきましょう。

 

景品表示法

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景品表示法とは、購入者の利益の保護を目的とした法律です。過剰な割引や虚偽の情報を記載して、購入者に損害を与えないようにルールを定めた法律です。

景品表示法には、大きく2つあります。

 

(1)不当表示の禁止

商品をその実態以上により良いものにみせたり、よりお得にみせたりする表示を禁止する法律です。不当表示の禁止は3つに分けられます。

 

優良誤認表示

品質を実態以上にみせる表示をする行為です。例えば、病気や痛みが治るというような表記をしたり、ダイヤモンドではないのに、まるでダイヤモンドを使っているかのような表記をしたりすることをいいます。

 

有利誤認表示

競合他社と比較してあたかもお得に見せるような表示をする行為です。例えば、事実ではないのに、業界No.1の安さと表示をしたり、通常販売と変わらないのに内容量2倍のような表記をすることです。

その他誤認のある表示

その他、誤認のある表示ももちろん禁止されております。たとえば、無果汁ジュースなのに果汁が入っているかのような表記をしたり、海外産のものを日本産などにしたりすることを言います。

 

(2)景品類の制限及び禁止

景品類とは顧客を誘引する手段として、取引に付随して提供する物品や金銭などの経済上の利益を提供するものになります。

 

例えば、商店街のくじの景品や、来店時のプレゼントなどがこれに該当します。特にハンドメイド系の販売を考えているあなたの場合、1つ買ったらもう1つプレゼントのような施策をやる場合は要注意です。取引金額が1000円未満の場合は200円まで、1000円以上の取引金額の場合は取引金額の5分の1までの景品しかつけることはできません。

 

心を込めた商品を正しく提供するためにも、しっかりとおさえておきましょう。

  

おまけ:消費税について

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商品を購入するときにはあまり気にならない消費税の納税方法ですが、事業側になると消費税にも注意しておく必要があります。

 

普段何気なく買い物をしていると、自動的に10%の消費税がかかっていますが、

事業者側はこれを国に納める手続きが発生するからです。

 

ただし、支払うには下記の条件である必要があります。

 

①課税基準期間における課税売上高が1,000万円を超える場合。

②基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合

 

※特定期間とは、個人事業者の場合はその年の前年の1月1日から6月30日までの期間、

法人の場合は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6か月の期間のことをいいます。

 

裏を返せば、1年間の課税売上高が1000万円を常に下回っている場合は、わざわざ消費税を国に納める手順を踏まなくていいということになります。そのため、ハンドメイド事業を始めたばかりのあなたは、特に気にする必要はございません。

 

しかし、もし1000万円を超える場合は、しっかりと納付しなければ、延滞税を払うことになり、余計大きな金額を支払うことにつながりますので、事業が大きくなった場合は、会計事務所や税理士さんなどに相談し、しっかり納税していきましょう。

 

まとめ

意外と知らない法律のお話+消費税のお話はいかがでしたでしょうか。

オンラインショップで手軽に販売できる反面、守るべき法律はちゃんと存在しております。余計な問題を増やさないためにも、しっかり法律の話をおさえておきましょう。